1980年代最高の洋画は? 映画の神に愛された傑作5選。まさに永久保存版…時代を超えて愛され続ける名作をセレクト
text by 村松健太郎
1980年代、スクリーンには想像を超えた世界が広がり、劇場に足を運ぶことは冒険そのものだった。今よりも限られた技術の中で生まれた作品の数々は、ジャンルを問わず人の心を揺さぶり、“語り継がれる物語”として今なお輝きを放っている。今回は、そんな80年代の空気をまとう名作洋画の魅力を紐解いていく。(文・村松健太郎)
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SF×ハードボイルドの傑作
『ブレードランナー』(1982)
監督:リドリー・スコット
脚本:ハンプトン・ファンチャー、デヴィッド・ピープルズ
出演:ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス
【注目ポイント】
アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックによる小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を、『エイリアン』(1979)で一躍脚光を浴びたリドリー・スコットが映画化したのが『ブレードランナー』である。
物語の舞台は21世紀初頭の近未来。遺伝子工学によって生み出された人造人間・レプリカントと、その摘発を担う捜査官・ブレードランナーの攻防を描く本作は、SFでありながらハードボイルドの趣を併せ持った独特の世界観が特徴だ。
主人公デッカードを演じたのは、『スター・ウォーズ』(1977)のハン・ソロ役でブレイク中だったハリソン・フォード。対するレプリカントのリーダー役にはオランダ出身のルトガー・ハウアーが抜擢され、これを機にハリウッドでも活躍するようになった。また、ヒロインのショーン・ヤングも注目を集めたが、本作がキャリアの頂点となった感は否めない。
公開当初こそ大きなヒットには至らなかったが、緻密な世界観やシド・ミードらによる精緻なメカデザインなどが再評価され、今ではSF映画の金字塔とされる存在に。複数のバージョンが存在し、それぞれで物語の印象が変わるのも本作ならではの魅力だ。2017年には続編『ブレードランナー2049』も公開され、長年にわたり支持されるシリーズとなっている。