笑って泣ける青春映画の金字塔

『ウォーターボーイズ』(2001)

妻夫木聡
妻夫木聡【Getty Images】

監督:矢口史靖
キャスト:妻夫木聡、玉木宏、三浦哲郁

【作品内容】

唯野高校水泳部は、部員が鈴木(妻夫木聡)1人だけという廃部寸前の状態。そんな中、美人教師・佐久間(眞鍋かをり)が顧問に就任すると、その魅力に惹かれた生徒たちが一気に30人も入部する。だが、佐久間の目的が“競泳”ではなく“シンクロナイズドスイミング”だと判明すると、大半が脱退。残ったのは鈴木を含むわずか5人。最初はしぶしぶながらも、彼らは学園祭でのシンクロ公演成功を目指して奮闘を始める。

【注目ポイント】

 2001年当時、シンクロナイズドスイミングといえば「女性の競技」というイメージが強かった。そんな常識を笑い飛ばすように登場したのが、男子高校生がシンクロに挑戦する姿を描いた青春コメディ『ウォーターボーイズ』だ。

 主演の妻夫木聡を筆頭に、玉木宏、金子貴俊ら当時の若手俳優たちが全力で水しぶきを上げる姿は、観る者の心を一瞬で掴む。青春のバカバカしさと、必死さと、ピュアな情熱が詰まったこの作品は、まさに“笑って泣けて、最後は晴れやかな気分になれる”スカッと映画の金字塔と言えるだろう。

 注目すべきは、やはりラストのシンクロ公演シーン。学園祭の晴天の下、家族やクラスメイト、町の人々が見守る中、5人は堂々と水に飛び込み、全力の演技を披露する。不器用で、滑稽で、でも真っ直ぐ。彼らの姿に思わず涙がこぼれる。その瞬間、努力は報われるのだと信じたくなる。

 単なるスポ根に終わらず、男子高校生ならではの“バカらしさ”や“どうでもよさそうで本気な青春のひととき”が全編にちりばめられており、恋の空回りやくだらない笑い、熱すぎる友情などもこの作品の大きな魅力だ。

 見終えたあと、「ああ、自分も何かに本気になってみたい」と思わせてくれる。そんなエネルギーに満ちた、爽快な青春エンターテインメントである。

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