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マインドコントロールで人間を殺人兵器に
ベトナム戦争の狂気を描いた衝撃作

『フルメタル・ジャケット』(1987)

監督のスタンリー・キューブリック【Getty Images】
スタンリーキューブリック監督Getty Images

原題:Full Metal Jacket
製作国:アメリカ・イギリス合作
監督・製作:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック、マイケル・ハー、グスタフ・ハスフォード
キャスト:マシュー・モディーン、ヴィンセント・ドノフリオ、リー・アーメイ、アダム・ボールドウィン

【作品内容】

南カロライナ州の海兵隊訓練キャンプに、新兵のジョーカーやカウボーイ、パイルがやってくる。そこで待ち受けていたのは鬼教官ハートマンによる地獄の訓練だった。彼らの人格を否定し、下劣な言葉で罵倒するハートマン。特に、ノロマで不器用なパイルへのあたりはきつく、他の訓練兵や仲間たちからも目の敵にされてしまう。精神に異常をきたしたパイルは、目つきが徐々に変わっていき―。

【注目ポイント】

「アメリカが歴史上、初めて負けた」といわれるベトナム戦争。本作は、新兵の訓練と実戦という2部構成でその狂気に迫っている。監督は『2001年宇宙の旅』(1968年)で知られる巨匠スタンリー・キューブリックで、原作はグスタフ・ハスフォードの『ショート・タイマーズ』。主演のジョーカーをマシュー・モディーンが演じる。

戦争映画の名作と名高い本作だが、注目は前半の訓練シーンにある。「ふざけるな!大声出せ!!タマ落としたか!」などと下品極まりない言葉で新兵たちを罵倒し、殺人マシーンへと調教していくハートマン。その姿は、観ていて滑稽にすら思えてくる。

なお、ハートマン役のリー・アーメイは、自身もベトナム戦争の従軍経験を持つ根っからの軍人。彼の演技からは、ホンモノの戦争の香りが匂い立っている。

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