偶然が重なって生まれた“魔弾”の真相
「消える銃弾」(シーズン2 第4話)
ゲスト俳優:下條アトム
【注目ポイント】
Season2のエピソード「消える銃弾」は、一見すると現実離れしたトリックだが、偶然の連鎖が重なったことで成立したという点で、非常に興味深い物語である。
事件の発端は、銃弾が見つからず、銃声も硝煙反応も検出されないという不可解な連続狙撃事件。まるで人知を超えたかのような状況に、特命係の杉下右京たちも困惑を隠せない。
犯人は、かつて自殺に追い込まれた青年・孝一を慕っていた弁当屋の店員・晴美(氏家恵)。彼女は孝一の父親がかつて密かに作っていた改造銃を盗み出し、その銃で復讐を実行に移していた。銃は特殊な空気圧式の仕組みを持つコンデンサー型で、発砲音がほとんどなく、硝煙反応も出ないため、従来の捜査では手がかりがまったく掴めなかった。
さらに特筆すべきは、晴美が使用していた“弾丸”が、なんとスペアリブの骨だったという点だ。骨は着弾と同時に粉砕され、人体に混ざってしまったため、通常の検死では銃弾として認識されず、まさに“消えた銃弾”となったのである。
作り手である孝一の父も、撃ち手である晴美自身も、そんな結果になるとは予想していなかった。だが、その“想定外”がかえって事件を複雑化させ、特命係を翻弄する魔弾となった。この構造が生むリアリティとサスペンスは、視聴者に強い印象を残す。
さらにこの回は、現在もレギュラーメンバーとして活躍する捜査一課の芹沢刑事が初登場するエピソードでもある。シリーズを追い続けるファンにとっては、物語としての完成度だけでなく、キャラクターの歴史を語る上でも重要な一話と言えるだろう。