美貌と才能、そして悲劇が象徴した60年代の星

シャロン・テート(1943~1969)

シャロン・テート
シャロン・テート【Getty Images】

代表作:テレビドラマ『じゃじゃ馬億万長者』(1962~1971)

【注目ポイント】

 1960年代のハリウッドで、その美しさと魅力的な雰囲気で注目を集めた女優、シャロン・テートは、1943年1月24日にアメリカ・テキサス州で生まれた。軍人の父を持ち、幼少期は各地を転々とする生活を送っていたが、10代でミスコンに出場し、その美しさが認められてモデルとして活動を始める。やがて映画界に進出し、1967年の映画『吸血鬼』でロマン・ポランスキー監督と共演。2人はその後結婚し、公私ともに注目を集める存在となった。

 翌年の代表作『バレー・オブ・ザ・ドールズ』での演技によりゴールデングローブ賞、新人女優賞にノミネートされている。彼女はその華やかな容姿だけでなく、柔らかく明るい雰囲気で観る者の目を引きつけ、多くの人々から親しまれた。控えめで礼儀正しい人柄も、業界関係者から高く評価されていたという。

 しかし、彼女の人生はあまりにも突然、そして非情なかたちで幕を閉じることになる。1969年8月9日、妊娠8ヶ月だった彼女は、自宅に押し入ったカルト集団「マンソン・ファミリー」のメンバーによって殺害される。享年26歳だった。その衝撃的な事件は、ハリウッドに深い爪痕を残し、全米を震撼させた。

 この「シャロン・テート事件」は、のちに多くの映像作品の題材ともなった。クエンティン・タランティーノ監督の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)では、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが演じる架空のキャラクターを軸に、1969年当時のハリウッドを背景に物語が展開される。テートを演じるのは、『バービー』(2023)のマーゴット・ロビー。映画終盤、シャロン・テートが巻き込まれた事件を、史実とは異なるもう一つの結末として描いた。

 短い人生の中で咲き誇ったシャロン・テートの輝きは、スクリーンの中で今も色あせることなく、多くの人々の心の中に生き続けている。

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