自然体の魅力で愛された個性派女優の早すぎる別れ
ブリタニー・マーフィ(1977~2009)
代表作:『17歳のカルテ』(1999)、『8Mile』(2003)
【注目ポイント】
1990年代から2000年代初頭にかけて、ひときわ個性的な輝きを放っていた女優がいた。それがブリタニー・マーフィだ。1977年11月10日、アメリカ・ジョージア州アトランタに生まれ、2009年12月20日、わずか32歳でこの世を去った天才女優である。
ブリタニー・マーフィの名を一躍知らしめたのは、1995年公開の青春コメディ『クルーレス』。冴えない少女から魅力的に変化していく役をチャーミングかつ自然体で演じ、『17歳のカルテ』(1999)にも出演。多くのファンを獲得した。その後も、『8Mile』(2002)では、エミネム演じる主人公の恋人アレックス役としてセクシーかつ複雑な魅力を見せ、女優としての幅を広げた。他にも『シン・シティ』(2005)『ジャスト・マリッジ』(2003)など、ジャンルを問わず活躍を続けた。
彼女の人気の理由は、単なる美人女優ではなかったからだ。キュートで無邪気な笑顔、ハスキーな声、そして時に傷つきやすささえ感じさせる表情。そのすべてがスクリーンの中でリアルに息づいていた。さらに、演技には自然体な感情があった。それが、観る者の心に深く染み入ったのだ。
しかし、2009年12月20日、ロサンゼルス自宅のシャワー室で急死。死因は肺炎、貧血、そして複数の処方薬の相互作用によるものとされている。32歳という若すぎる死は、世界中に衝撃を与えた。さらにその数ヶ月後には夫サイモン・モンジャックも急死。当初は心不全と報道され、薬物乱用などさまざまな憶測が飛び交ったが、最終的に死因は急性肺炎と公式に発表された。
ブリタニー・マーフィはその短い生涯の中で、明るさと繊細さを併せ持つ稀有な演技で観客を魅了し続けた。彼女の出演作を見返すたび、その輝きが色あせることはない。