奇跡のキャスティング
『山田太郎ものがたり』(TBS系、2007)
脚本:マギー
出演者:二宮和也、櫻井翔、多部未華子、忍成修吾、大塚ちひろ、吹石一恵、吉沢悠、松岡充、菊池桃子、宇津井健
【注目ポイント】
二宮和也と櫻井翔がW主演を務めた『山田太郎ものがたり』。今となっては、奇跡のようなキャスティングが実現した同作は、2000年代の学園ドラマのなかでも、ひときわ特別な存在だった。
まず、二宮が演じた山田太郎は、容姿端麗・成績優秀・運動神経抜群という“モテ三拍子”を兼ね揃えた完璧男子…に見えるが、実は7人きょうだいの長男で極貧生活を送っている。とはいえ、その貧乏をただの不幸として描くのではなく、あくまで前向きにコミカルに描いていたのが、同作の魅力のひとつ。頼りない母親や、まだ幼いきょうだいたち。文句を言いたくなることもあるだろうに、いつでも優しく受け入れる太郎の姿には、まるで宝石のような輝きがあった。
そんな太郎と“親友”のようになっていくのが、櫻井が演じていたセレブ貴公子の御村くん。どこか冷静で達観しているようでいて、太郎のことは誰よりも気にかけている。その不器用な優しさが、とてつもなく愛おしかった。
こちらも、『イケパラ』と同様、「山田太郎と御村くん、どっち派?」と教室が大盛り上がりしていたのも懐かしい思い出だ(ちなみに、わたしは御村くん派でした)。松本潤主演の『花より男子』をきっかけに、勢いを増した嵐。『山田太郎ものがたり』は、彼らの魅力をさらに多くの人に知らしめ、ブレイクの後押しをした作品といっても過言ではないだろう。