強い大人になるためのヒントを提示してくれるドラマ

『35歳の高校生』(日本テレビ系、2013)

米倉涼子
米倉涼子【Getty Images】

脚本:山浦雅大、高橋悠也
出演者:米倉涼子、溝端淳平、片瀬那奈、升毅、東根作寿英、相葉裕樹、隈部洋平、生島翔、横山めぐみ、榎木孝明、渡哲也、上遠野太洸、北山詩織、小島藤子、新川優愛、菅田将暉、高杉真宙、西井幸人、野村周平、広瀬アリス、藤原令子、水野絵梨奈、宮﨑香蓮、森川葵、山﨑賢人

【注目ポイント】

 最初にタイトルを聞いた時、「35歳が高校生? えっ、どういうこと?」と戸惑った。しかし、米倉涼子が制服を着て、廊下をゆっくり歩く姿を見た瞬間、そのすべてが“アリ”に。「なんか、面白いドラマが始まった!」とワクワクしたのを覚えている。

『35歳の高校生』は、その名のとおり、35歳の馬場亜矢子(米倉涼子)が、全日制高校に転校してくるとろからスタートする。当然ながら、ほかのクラスメイトは全員10代。年齢も常識も違うなかで、“いじめ”や“スクールカースト”といった問題に、亜矢子がどんどん切り込んでいく。

 同作が放送されていた当時、わたしはまだ高校生だった。そのため、「無理して一緒にいなきゃいけないくらいなら、ひとりの方がマシじゃない?」とでも言いたげな亜矢子のことが、どうしても理解できなかった。10代にとって、“孤独”というのは何にも変え難い恐怖だからだ。だからこそ、“同調”が必要だったし、亜矢子のような人を「協調性がない」と心のなかで揶揄していたこともある。でも、今になって思う。あの時、亜矢子が見せてくれた生き様は、わたしが強い大人になるためのヒントだったのだ。

 強くてまっすぐで、誰にも媚びない。それなのに、どこか寂しげで、孤独の痛みを知っている──そんな亜矢子は、“ひとりでいること”を選ぶ強さと、“誰かとつながること”を諦めない優しさの両面を持っている女性だった。

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