地味女子とのギャップが光るWフェイスのギャル演技

森七菜『ライアー×ライアー』(2021)

森七菜
森七菜【Getty Images】

『天気の子』(2019)や『ラストレター』(2020)などで知られ、ナチュラルで素朴な雰囲気が魅力の森七菜。無垢で純粋な佇まいは度々話題となり、若者世代を中心に絶大な人気を博している。

 そんな森が新たな一面を見せたのが、2021年公開の映画『ライアー×ライアー』で披露したギャル姿である。本作において森は、地味な女子大生とギャル風の別人という2役を見事に演じ分け、その振れ幅の大きさによって観客を驚かせた。

 物語は、主人公・湊(森七菜)が義理の弟・透(松村北斗)と偶然の再会を果たすことから始まるラブコメディである。普段の森七菜の清楚なイメージとは異なる大胆な変貌は、公開当時、SNSなどでも大きな話題となった。しかし、地味な姿であれ、ギャルの姿であれ、その内面に可愛らしさと人間的な魅力をしっかりと宿している点が、森の演技者としての大きな強みである。

 どのような役柄においてもキャラクターの感情に一貫性を持たせ、作品世界の中で自然に存在させる高い演技力が発揮されていた。控えめな湊と、奔放で自由な湊という“2つの顔”のギャップは、物語の面白さを最大限に引き立てる要素となっていた。また、透役を演じた松村北斗との相性も抜群であり、物語に説得力と魅力を与えていた。

『ライアー×ライアー』は、森七菜の表現力と演技の振れ幅を広く世に知らしめた作品であり、彼女のキャリアにおける重要な1本である。

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