国民的なドラマの未回収伏線
『VIVANT』(TBS系、2023)
脚本:八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈
出演者:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、迫田孝也
【作品内容】
商社マン・乃木憂助(堺雅人)は、突如発生した1億ドルの誤送金事件に巻き込まれ、犯人として疑われる。潔白を証明し失われた金を追って、謎多きバルカ共和国へ向かう。
【注目ポイント】
2023年、TBSで放送されたドラマ『VIVANT』は、視聴者の想像を遥かに超えるスケールと構成で話題を呼んだ。主演の堺雅人を筆頭に、阿部寛、役所広司、二階堂ふみ、松坂桃李といった豪華キャストが集結し、息をもつかせぬ展開が毎週視聴者を釘付けにした。
物語の発端は、主人公・乃木憂助が勤める丸菱商事で発生した1億ドルもの「誤送金事件」だった。何者かが仕組んだこの送金によって、乃木は一転して犯人と疑われ、会社の信用や命まで脅かされることになる。しかし、この誤送金がすべての始まりであるにもかかわらず、物語が進むにつれて事件の詳細は曖昧になり、最終回を迎えても資金の行方などは一切描かれないままだった。
実際に、プロデューサーの飯田和孝氏も放送後のインタビューで「回収しきれていない伏線がある」と明かしており、誤送金事件以外にも多くの謎が残されたままだ。
こうした中、2026年に続編が制作、放送されることが正式に発表された。TBSは当初から『VIVANT』を三部作構想で計画しており、今回の続編はその第2部にあたるという。物語は前作のラスト直後から始まり、これまで語られなかった裏側や、未回収の伏線の解明に踏み込む可能性が高いとされている。
とりわけ注目されているのは、やはり丸菱商事の誤送金問題の行方だ。続編では、表のビジネス社会と裏の情報戦がどう交差していくのかが見どころとなるだろう。
伏線の多さゆえに、すべてを1作で回収することが不可能だった『VIVANT』。だが、それこそがこのドラマの醍醐味であり、続編に向けた余白を美しく残したとも言える。