続編を望む声も…未回収の謎に残る余韻
『最愛』(TBS系、2021)
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
出演者:吉高由里子、松下洸平、田中みな実、佐久間由衣、高橋文哉
【作品内容】
事件の重要参考人となった実業家の真田梨央(吉高由里子)は、刑事になった初恋相手の宮崎大輝(松下洸平)と15年ぶりに再会する。彼は刑事となり、梨央は殺人事件の重要参考人となっていた――。
【注目ポイント】
2021年に放送されたTBS系金曜ドラマ『最愛』は、製薬ベンチャーの若き社長・真田梨央と刑事・宮崎大輝の再会を軸に、15年前の殺人事件を巡るラブサスペンスとして話題を集めた。事件の真相が明かされる過程で人間関係は複雑に絡み合っていく。
最終回では加瀬賢一郎(井浦新)が死体遺棄の共犯だったことなど多くの伏線が丁寧に回収され、見事な終幕と高い評価を受けた。
物語の核心である15年前の殺人事件の犯人が、梨央の弟・朝宮優(高橋文哉)であることが明かされると同時に、その行動の背後にあった守るための嘘が浮かび上がる。父・達雄(光石研)が死の間際に残した証拠動画や、それを巡って梓(薬師丸ひろ子)や加瀬が果たした役割など、家族を守ろうとする思惑が丁寧に描かれた。
一方で、あえて明かされなかった謎も多く残された。視聴者の間で注目されたのが、梨央の「記憶」にまつわる描写だ。梨央の部屋にヨーグルトがこぼれたままだった場面などに「記憶障害を示唆しているのでは」との声が上がったが、真相は語られないままだ。また、優の「記憶が飛んだ」という発言や、旧札の扱いなど、細かな伏線も明確な説明がなかった。
SNS上では「続編で明かされるのでは?」という憶測が飛び交っており、未回収の伏線が物語の余韻を深めている。