『相棒』20年以上の歴史が生んだ“未解決伏線”は? 回収待ちの謎5選。ファンを魅了し続ける永遠の課題とは?

text by Naoki

2000年から放送を開始し、400話以上を数える国民的刑事ドラマ『相棒』は、劇場版も含めて長きにわたり愛され続けてきた作品である。その魅力の一つは、物語を彩る数々の伏線にある。中には未だ回収されていない謎も多く、ファンの間で語り継がれているものも少なくない。本稿では、その中でも特に注目度が高い5つの伏線を取り上げ、その背景と今後の展開への期待を探る。(文・Naoki)

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右京の英国時代に隠された“母なる存在”の真相

アリスの謎

水谷豊
水谷豊【Getty Images】

【注目ポイント】

 杉下右京にとって英国は、単なる憧れの国ではない。学生時代の留学先であり、警察官としてスコットランドヤードで研修を受けた地でもある。紅茶や服装、読書、音楽など、その所作のひとつひとつに英国文化の香りが染みついているのだ。

 シリーズを通じて右京が英国を訪れる場面は少なくない。たまきと“幽霊ホテル”に滞在したり、観劇を楽しんだり、友人との交流や事件捜査に協力する姿も描かれてきた。シーズンの始まりや終わりに出国や帰国するエピソードも珍しくない。

 しかし、シーズン2の「ロンドンからの帰還〜ベラドンナの赤い罠」は特別だ。『相棒』唯一の海外ロケで、右京の英国での生活が映し出されている。ロンドンの名所“9と3/4番線”や“シャーロック・ホームズ像”を巡るなか、視聴者の心を強く揺さぶる場面がある。

 それが、「ALICE」と刻まれた墓に右京が花を手向けるシーンだ。

 このアリスについては、右京の恩師であり、英国で彼にとって“母親のような存在”であったと語られているものの、それ以上の情報は一切明かされていない。

 長年『相棒』を手がけた和泉聖治監督も、この謎をいつか描きたいと意欲を示していたという。

 果たしてアリスとは何者だったのか。右京の人格を形づくった大切な存在であることは疑いようがない。彼のルーツを知る鍵として、いずれ物語の中で明かされる日を心待ちにしたい。

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