中ボスからラスボスまで──未だ決着を見ぬ巨悪たち

ボス達との対決

毎熊克哉 写真:武馬怜子
毎熊克哉 写真:武馬怜子

【注目ポイント】

『相棒』の大きな魅力のひとつは、複数のシーズンをまたいで描かれる“巨悪”との対決だ。

 過去には、“平成の切り裂きジャック”浅倉禄郎(生瀬勝久)、“閣下”北条晴臣(長門裕之)、“内閣官房長官”鶴田翁助(相島一之)といった怪物たちが物語を揺るがし、その決着はいずれも名作エピソードとして語り継がれている。

 そして現在もなお、未だ決着を見ぬ巨悪たちが存在している。杉下右京の精神を激しく揺さぶった“元相棒”南井十(伊武雅刀)、人心を操り知略で追い詰める“黒真珠の女”遠峰小夜子(西田尚美)、そして総理すら無視できない“令和のフィクサー”浦神鹿(毎熊克哉)。タイプも手口も異なるが、いずれもシリーズをまたいで立ちはだかる強敵だ。

 もっとも、これらのキャラクターはいずれも徳永氏、神森氏、真野氏といったサブ脚本家が生み出した存在であり、“中ボス”としての位置づけと見る向きもある。となれば、メインライターである輿水泰弘が手掛けた悪役こそ、真のラスボス候補といえるだろう。候補として浮上するのは、“元副総監”長谷川宗男、“悪女”片山雛子、“国家公安委員長”鑓鞍兵衛など。いずれも一筋縄ではいかない錚々たる顔ぶれで、結末を予測するのは容易ではない。

 いずれにせよ、彼らは全員が強烈な個性と存在感を放ち、右京と対峙するその瞬間を観る者に強烈な印象を残すことだろう。これまで巨悪との決着を描いたエピソードは、例外なくシリーズ屈指の名作となってきた。だからこそ、未解決の因縁がこれほど残されている現状は、ファンにとって最高の期待材料でもある。

 唯一の不安は、『相棒』がこうした敵役や伏線を放置し、風化させてしまう“悪癖”を持っていることだ。しかし、来るべきシーズン24こそ、そのいくつかに結実や決着、あるいは大きな進展が訪れると信じたい。

 想像するだけで胸が高鳴る──まだまだ『相棒』の物語は、我々を待ち受けている。

【著者プロフィール:Naoki】

1995年生まれのエンタメ企業勤務。ドラマ、漫画、ゲームなどサブカルをこよなく愛するオタクライター。自身でも作品ファンを集めたオフ会を開いたり積極的にファンコミュニティを拡大させている。記事は知らない人には分かりやすく、知ってる人にはより楽しめるを信条に活動中。

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【了】

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