怖すぎる…漫画『笑ゥせぇるすまん』ドン引きのトラウマ回5選。実写化は不可能…読者を震撼させた名作エピソードをセレクト
藤子不二雄Ⓐの漫画を原作とした実写ドラマ『笑ゥせぇるすまん』が、ロバート秋山竜次を主演に迎え、Prime Videoにて7月18日(金)より独占配信中だ。今回は、原作漫画の中でも、「オチのえげつなさ」に背筋がゾクっとするエピソードを5つセレクト。後味が悪すぎる名作回を紹介する。(文・ZAKKY)
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不味い弁当から始まった夫婦崩壊
『愛妻弁当』
【あらすじ】
28歳のサラリーマン・我妻毅(わがつま つよし)は、妻・花子が毎日作ってくれる弁当を会社に持参している。だがその味はどうにも口に合わず、昼になるとこっそりゴミ箱に捨て、代わりにパンを買っていた。そんなある日、公園で弁当を処分しようとしていた我妻の前に、あの喪黒福造が現れる。
「明日から毎日、あなたの弁当と交換しましょう」
そう提案され、我妻は公園の地蔵の前に弁当箱を置くという決まりのもと、交換を開始。すると翌日から、一流ホテルの料理長が手掛けた豪華弁当が彼の元に届くようになった。
やがて我妻は疑問を抱く。
「あんなに不味い家内の弁当を……誰かが食べているんでしょうか?」
喪黒は真顔で答える。
「それは聞かないでください。美味しい弁当を食べ、家庭円満を続けたいなら、詮索は無用ですよ」
しかし我妻は我慢できず、こっそり確かめてしまう。そこには、公園で寝泊まりする屈強なホームレスの大男が、花子の弁当を嬉しそうに食べている姿があった。
後日、家に帰ると、その大男が花子と仲睦まじく食卓を囲んでいた──。
喪黒の高笑いが響く。
「遅かったようですねぇ。弁当だけでなく生活の全ても交換してしまうとは……夫婦の別れにはいろいろな理由がありますが、今回の場合は“食生活の不一致”でしょうか? オーホホホホホホ!」
【「ドーン!」引きポイント】
このエピソードは、地味ながらも妙に切なく、そして残酷だ。確かに「食生活の不一致」は夫婦仲に亀裂を生む理由としてあり得る。しかし──
「いやいや、やりすぎだろ、喪黒福造さんよ」
もし筆者がバー『魔の巣』で喪黒と鉢合わせしたら、まずそう言いたい。だって我妻は不倫していたわけでもなく、夫婦で話し合えば改善の余地はいくらでもあったはずなのだ。
それなのに、心の隙間に付け込む喪黒の手口はあまりにもニッチ。まるでネタ切れした突撃系YouTuberの企画のようで、ブラックユーモアを超えてブラックジョークにすら感じてしまう。
さらに筆者が常々抱く疑問──
「そんなに不味い料理って、逆にどうやったら作れるの?」問題。
料理に自信がなくても、レシピ通りに作ればそれなりの味になるはず。それを“毎日捨てるほど不味い”という設定は、ちょっと極端だ。
結局、我妻が気付けなかったことが悲劇を招いた。しかも、屈強な大男でありながらホームレスという謎めいた人物に、たった「料理が不味い」という理由で妻を奪われるという理不尽さ。切なさとトラウマ級の後味を残す、まさに“笑ゥせぇるすまん”らしい一話である。