社会現象を巻き起こす力──『半沢直樹』から『VIVANT』まで

堺雅人

堺雅人
堺雅人【Getty Images】

【日曜劇場主演作】

主な『半沢直樹』(2013)『VIVANT』(2023)

【注目ポイント】

 TBS系「日曜劇場」は、骨太なテーマとスケール感のある演出で、視聴者を魅了し続けてきた。中でも社会現象を巻き起こしたのが、俳優・堺雅人だ。

 堺雅人主演の日曜劇場作品として、多くの人がまず思い浮かべるのは、やはり『半沢直樹』だろう。2013年版、そして2020年版と2度にわたって放送されたこの作品は、「倍返しだ!」の決め台詞が社会現象となるほどのブームを巻き起こした。銀行マンの半沢直樹が、組織の不正や理不尽に立ち向かう姿は、多くのビジネスパーソンに共感と勇気を与えた。堺雅人の、冷静沈着でありながらも内に秘めた熱い情熱を爆発させる演技は、半沢直樹そのものであり、視聴者を作品世界に深く引き込んだ。

 そして記憶に新しいのが、2023年に放送された『VIVANT』だ。それまでの日曜劇場の常識を覆す壮大なスケールと、予測不能な展開で視聴者を魅了した。豪華な俳優陣による群像劇、そして随所に散りばめられた謎。その物語の中心にいたのは、乃木憂助を演じた堺雅人だ。複数の人格を持つという難役を、繊細かつ迫力ある演技で見事に演じきり、再びその実力を見せつけた。

 この2作品で計3度、日曜劇場の主演を務めた堺は、最多主演回数上位に入る俳優の一人となっている。同数で並ぶのが、唐沢寿明、高橋克典、妻夫木聡、二宮和也らだ。唐沢は『輝け隣太郎』、高橋は『サラリーマン金太郎』妻夫木は『オレンジデイズ』から『危険なビーナス』まで幅広い役を演じ、二宮は『マイファミリー』『ブラックペアン』で緻密な芝居を見せた。

 日曜劇場が長く支持されてきた背景には、こうした俳優たちが持つ「引き込む力」と「演じ分ける力」がある。堺雅人もまたその一人であり、『VIVANT』の続編ドラマを控える今、主演回数の更新は確実と言っていいだろう。

【著者プロフィール:阿部早苗】

仙台在住の元エンタメニュース記者。これまで洋画専門サイトやGYAOトレンドニュースなど映画を中心とした記事を執筆。他にも、東日本大震災に関する記事や福祉関連の記事など幅広い分野で執筆経験を積む。ジャンルを問わず年間300本以上の映画を鑑賞するほどの映画愛好家。

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【了】

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