吾峠呼世晴は天才…『鬼滅の刃』史上最高の名セリフは? 号泣必至の名言5選。涙なしでは語れない…珠玉の言葉をセレクト
text by 小室新一
『鬼滅の刃』は、壮絶な戦いの中で描かれる絆や信念によって多くの読者の心を震わせてきた作品である。特に、登場人物が放つ言葉の数々は、単なる台詞にとどまらず、生きる勇気や希望を与えてくれる力を持つ。本稿では、その中でも涙なしでは語れない名言を5つ取り上げ、それぞれの言葉に込められた想いと背景を掘り下げて紹介する。※原作のクライマックスに触れています。未見の方はご注意ください。(文・小室新一)
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弱さを叱咤し、強さを導いた義勇の決意の一言
冨岡義勇「生殺与奪の権を他人に握らせるな」
水柱・冨岡義勇は、冷静沈着でありながら、心の奥に熱いものを秘めた剣士である。
炭治郎と禰豆子に初めて出会った場面で放たれたこのセリフは、厳しい現実を突きつける一言として強く印象に残る。
炭治郎が家を空けていた間に、家族は鬼の襲撃に遭い、残されたのはわずかに息のある妹・禰豆子だけだった。必死に彼女を背負い、山を駆け下りて医者を目指す炭治郎。だが途中で、禰豆子は鬼へと変貌し、兄を襲う。
そこに現れたのが冨岡義勇だった。炭治郎を救うために鬼と化した禰豆子を斬ろうとする義勇に、炭治郎は「妹だから殺さないでほしい」と必死に懇願する。その瞬間、義勇が投げかけたのがこの言葉である。
「生殺与奪の権を他人に握らせるな」
この言葉には、「無力であれば、誰かを救うことも守ることもできない」という冷徹な現実が突きつけられている。同時に、それは炭治郎に生き抜く覚悟を迫る、義勇からの熱い激励でもあった。義勇の心には、「泣くな、絶望するな。そんなのは今することじゃない」「怒れ。許せないという強く純粋な怒りは、手足を動かすための揺るぎない原動力になる」という思いが渦巻いていたのだ。
炭治郎が強くなるきっかけとなった言葉であり、義勇の強さとやさしさを伝える名言と言っていいだろう。