身分を超えた恋が心を打つ

『雲が描いた月明かり』(2016)

俳優のパク・ボゴム【Getty Images】
俳優のパク・ボゴム【Getty Images】

出演: パク・ボゴム、キム・ユジョン、ジニョン(元B1A4)、チェ・スビン、クァク・ドンヨン ほか
原作: ユン・イス作『雲が描いた月明かり』(ウェブ小説)
脚本: キム・ミンジョン、イム・イェジン
演出: キム・ソンユン
制作: KBS

【注目ポイント】

『雲が描いた月明かり』は、王宮という閉ざされた世界を舞台に、身分という壁を越えて育まれる恋と青春の輝きを描いた、心ときめくロマンス時代劇である。

 本作の魅力は、繊細な心の動きを丁寧に映し出す俳優たちの演技にある。主人公ラオンを演じたキム・ユジョンは、男装して生きる少女の芯の強さと可憐さを見事に表現し、観る者の心を掴む。対する王世子イ・ヨンを演じるパク・ボゴムは、聡明さと自由な精神を併せ持つ世子の姿を、柔らかな表情と気品ある佇まいで丁寧に演じている。

 ふたりの息の合った演技が、王宮に漂う緊張感と恋の甘やかさを絶妙に表現し、観ている人の心を温かく包み込む。

 ファンタジックな設定の中にも、友情や成長、葛藤といった人間らしいドラマがしっかりと描かれており、登場人物一人ひとりが魅力的に映し出されているのも大きな魅力。

 甘さだけでは終わらない、切なさと希望が交錯する青春の一作。見終えたあとも、胸の奥にやさしい余韻を残してくれる。

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