ブラックミュージック仕込みの立体的な歌声
星野源
ーーー続いてご紹介いただくのは、星野源さんです。
「星野源さんの声は、とにかくサラサラしていて、聞いてて邪魔にならないんですね。
藤井風さんとかもこの系統なんですが、星野さんの方がクセがないイメージです」
ーーー確かに星野さんと藤井さんは似ているかもしれませんね。
「はい。聞いてて邪魔にならない声というのは、発声解剖学的には正解なんです。ただ、星野さんは、ブラックミュージック好きを公言されているのもあって、曲に立体感がありますよね」
ーーー立体感ですか?
「はい。例えば代表曲の『恋』もそうですが、バラード曲でもリズム感があって、休符が散りばめられているんです。だから、サラッとした声質の割に、ノリがいい曲が多いんです」
ーーー確かにそうですね。ちなみに、星野さんはブラックミュージック以外にも、さまざまな音楽に精通されていますよね。
「音楽が本当にお好きな方なんだと思います。で、いろいろな歌い方を、かなり自覚的にご自身の歌に取り入れている。かなり戦略的に歌われているのかなと思いました」
ーーーなるほど。ちなみに、星野さんの声は、帯域で言うとどのあたりになるんでしょうか。
「真ん中から上ですね。星野さん自身、どちらかというと小柄な方なので、元々声が高い方なのかなと思います」
ーーー声と体格が関係しているんでしょうか?
「一概にはいえないですが、身長が高い方は、喉仏が大きい方が多い傾向にあるので、低い声の方が多い印象です。他方で、身長が低い方は、喉仏が小さい傾向にあるので、高い声の方が多いという印象ですね。
特に最近は、小柄で比較的声が高いアーティストさんが増えてきた印象があります。そういう点では星野さんは、現在のアーティスト像の先駆的な存在と言えるかもしれないですね」