ガチで鳥肌…『鬼滅の刃』史上もっとも泣けた「鬼の過去」5選。言葉を失うほど壮絶…心揺さぶるエピソードをセレクト
text by まっつ
『鬼滅の刃』シリーズは、なぜファンの心を掴んで離さないのか。その人気の理由の一つに、敵である“鬼”の過去を描く、作り込まれたストーリーにある。それゆえ物語に深みが増し、多角的な視点で作品を捉えることができるのだ。そこで今回は、泣ける過去をもつ鬼のエピソードを5つセレクトしてご紹介する。(文・まっつ)※原作のクライマックスに触れています。未見の方はご注意ください。
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復讐のために突き進んだ鬼の道
猗窩座
【注目ポイント】
泣ける鬼の過去として他の追随を許さないのが上弦の参に位置する猗窩座だ。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(2020)では炎柱・煉獄杏寿郎を倒し、とことんまで強さを追い求める姿が印象的な鬼である。『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』では再び炭治郎、冨岡義勇の前に現れ、強大な敵として立ちはだかる。
そんな白熱した戦いの最中に取り戻していく人間時代の過去は凄惨といって差し支えない。かつて「狛治(はくじ)」と名乗っていた猗窩座は罪人で、犯罪行為を繰り返しているうちに父を亡くした。そんな狛治を救ったのが師範である「慶蔵」だった。修行をつけられ、病弱な愛娘の「恋雪」の看病を任されるうちに狛治は純粋な心を取り戻していく。
しかし、恋雪と夫婦になる契を交わした矢先、悲劇に襲われる。隣の道場の人間が井戸に毒を入れて慶蔵と恋雪を殺してしまう。大事なものを一度に2つも失ってしまった狛治は身一つで67人を殴り殺し、鬼への道を突き進んでいくこととなる。
猗窩座の「強くなりたい」という欲求は大事なものを守れなかった裏返しであり、鬼として鬼殺隊の前に現れてもどこか軽蔑することはできない。現在公開中の映画でも猗窩座の過去は切なくも感動的に描かれており、涙なしで見届けることは困難だ。