純粋無垢な少年の記憶
手鬼
【注目ポイント】
鬼殺隊に入隊するための試練「最終選別」で立ちはだかったのが手鬼。長年、藤襲山で生き延び、およそ50人以上の候補生たちを喰らってきた凶悪な鬼である。炭治郎の修行の成果、そして「水の呼吸」を披露するうえで、物語上でもカギとなる敵となった。
そんな手鬼は葬り去られる瞬間、炭治郎に手を握られたことによって、わずかながら人間時代の記憶が蘇る。鬼となる前には、夜を怖がり、兄に手をつなぐことをせがむ純粋無垢な少年だったことが明らかに。しかし、鬼となるにつれて兄の存在すら忘れ、その一方で手をつなぐ相手を求めるかのように大量の手を生やした「手鬼」となっていたのはあまりに皮肉的だ。
猗窩座や、堕姫と妓夫太郎らに比べればあっさりとした説明となっており、手鬼の人間時代はそれほど掘り下げられていない。
だが、鬼が敵であると同時に、「哀しい生き物」であるということを炭治郎と我々読者に認識させた最初のキャラクターでもある。その点で「泣ける鬼の過去」を語る上で欠かすことができない存在と言えるだろう。