家族愛がもたらした悲劇
累
【注目ポイント】
下弦の伍として現れた累は「竈門炭治郎 立志編」ではラスボスと言ってもいい存在だった。序盤の強敵として糸の血鬼術を操る累は恐怖を与える敵だったが、そんな彼も悲しく虚しい過去を抱えていた。
人間時代は病弱で無惨によって鬼化された累。悲観した両親によって無理心中を図られると、返り討ちにしてしまう。しかし、父も母も鬼となった累への愛情を失っていたわけではなく、贖罪の意識があったことがすぐにわかる。
本当の絆を自らの手で断ち切ってしまった累は、家族という結びつきに憧れるようになる。鬼となった後も自身の力によって家族を作っていたわけだが、誰よりも累本人が「偽り」であることを気づいていた。
頸を切られて消滅しようとする中、最後に走馬灯が頭の中を駆け巡る。鬼となり人を殺してしまった後悔を口にした累へ今は亡き両親が優しく声を掛ける。「どこまでも一緒よ」と。これほど温かい両親がいながら、鬼という邪道へ進んでしまった累の人生は悲劇そのものだった。最後に両親と対話することができたのがせめてもの救いだろうか。