白衣のカリスマを体現
江口洋介『救命病棟24時』(フジテレビ系、1999〜)
医者役が上手かった俳優としてしばしば挙げられるのがドラマ『救命病棟24時』で進藤一生役を演じた江口洋介だ。
江口扮する進藤は孤高の天才外科医。冷静沈着で無口、常に患者を最優先に考え、信念を決して曲げない。完璧主義ゆえにスタッフと衝突することもあり、一部からは敬遠されている。その判断で多くの命を救ってきた一方、独断的な行動がトラブルを招いたこともある。しかし、時に厳しい言葉を投げかけながらも、その根底には命を救うという強い信念が貫かれている。
江口の演技が高く評価される理由のひとつが、その徹底した役作りだ。実際に医療現場を見学し、救急医療の現実を肌で感じたうえで、演技にリアリティを注ぎ込んだ。まるで進藤一生という人物が本当に存在しているかのような佇まいは、演技に強い説得力を与えており、実際、第1シリーズから第3シリーズで江口はザテレビジョンドラマアカデミー賞で主演男優賞に輝いている。
シリーズ全体の平均視聴率は20%を超え、社会的な注目も大きかった。進藤が不在となった第5シーズンでは物足りなさを感じたファンは少なくなく、いささか皮肉な形ではあるが、彼の存在がいかに作品の核だったことを証明することになった。