とことんリアルを追求する姿勢で偉業を成し遂げる
若葉竜也『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系、2024)
医療ドラマにおける名医の名演として忘れてはならないのが、2024年に放送されたドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』で、脳外科医・三瓶友治を演じた若葉竜也の存在だ。
アメリカ帰りの脳外科医・三瓶は、感情をあらわにせず、抑揚の少ない変わり者で無口な男。しかし、その無駄のない所作や視線のひとつひとつに、患者の命に真摯に向き合う覚悟が宿っている。若葉の演技は台詞以上に雄弁で、微細な表情や立ち居振る舞いから、三瓶という男の揺るがぬ信念が静かににじみ出ていた。
そんな三瓶役で周囲を驚かせた若葉が挑んだのが、プロでも難しいとされる吻合の成功である。第10話では、主人公ミヤビ(杉咲花)の病状が再発し、三瓶が難関手術に挑む場面が描かれた。吻合の糸を結ぶシーンで若葉は、実際の医療現場でも使用されている極細糸(直径0.010〜0.019mm)を実際に使い、自らの手で吻合を成功させたのである。この偉業に対し、同ドラマの監督・Yuki Saitoは「あの糸を使って吻合に成功した俳優は、未だかつて若葉竜也しかいないはず」と語っている。
『アンメット ある脳外科医の日記』は、ギャラクシー賞月間賞や東京ドラマアウォード優秀賞をはじめ、数々の賞を受賞。主演の杉咲花が個人賞、若葉竜也が助演男優賞に輝くなど、作品・演技・脚本のすべてにおいて高く評価された。なかでも、杉咲花と若葉竜也という黄金コンビが見せた繊細で丁寧なやり取りは、視聴者の心に深く響き、多くの共感と感動を呼んだ
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