ルーツは吸血鬼!? 幻の読切『過狩り狩り』の秘密
海外にも鬼がいる!?
吾峠呼世晴先生の代表作『鬼滅の刃』が生まれるまでには、長い試行錯誤の時期があった。その原点ともいえるのが、先生が初めて集英社に投稿した読切作品『過狩り狩り』だ。この短編には、すでに『鬼滅』と通じる世界観や設定が数多く見られ、ファンにとっても興味深い内容となっている。
『鬼滅の刃』では、大正時代を舞台に鬼舞辻無惨をはじめとする鬼と、鬼殺隊との戦いが描かれる。一方、『過狩り狩り』もほぼ同時代を背景にしつつ、日本の鬼と“海外の鬼”が対立するというユニークな構図を採用している。
この“海外の鬼”は、吸血鬼をモチーフにしており、人間の血を吸うという『鬼滅』の鬼の設定も、この発想から影響を受けたと考えられる。
さらに注目すべきは、この作品に『鬼滅の刃』の重要キャラクターがすでに登場していることだ。それは、鬼でありながら鬼舞辻に敵対する珠世と愈史郎である。名前も外見もほぼそのまま登場し、時川という鬼の服装は無惨のデザインによく似ている。
まさに『過狩り狩り』は『鬼滅の刃』の原型とも言える存在。この読切がなければ、今の『鬼滅』は生まれなかったかもしれない。
(文・小室新一)
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