ジェームズ・キャメロンが映像化を熱望した世界観
『アリータ:バトル・エンジェル』(2019)
原作:木城ゆきと『銃夢』
監督:ロバート・ロドリゲス
脚本:ジェームズ・キャメロン、レータ・カログリディス
出演:ローサ・サラザール、クリストフ・ヴァルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリ、エド・スクライン、ジャッキー・アール・ヘイリー、キーアン・ジョンソン
【作品内容】
舞台は数百年後の未来。記憶を失ったサイボーグの少女アリータ(ローサ・サラザール)は、かつて最終兵器として造られた存在だった。自分の正体に戸惑いながらも、送り込まれる殺人サイボーグたちに立ち向かう。
【注目ポイント】
2019年に公開された映画『アリータ:バトル・エンジェル』も日本の漫画がハリウッドで実写化され高評価を獲得した作品のひとつだ。巨匠ジェームズ・キャメロンが製作・脚本に携わり、『シン・シティ』のロバート・ロドリゲスが監督を務めた。原作は1991年から1995年にかけて雑誌「ビジネスジャンプ」(集英社)で連載されていた木城ゆきとの伝説的サイバーパンク漫画『銃夢』である。
物語の舞台は、天空に浮かぶ支配都市「ザレム」と、その真下に広がるスラム「アイアン・シティ」。ある日、サイボーグの残骸の中から、サイバー医師のイド(クリストフ・ワルツ)が上半身だけの少女を発見する。彼は彼女に新しい身体を与え、「アリータ」と名付けるが、彼女には過去の記憶がまったく残っていなかった。
しかしアリータは、ただの無垢な少女ではなかった。戦闘時には驚異的な身体能力を発揮し、やがて自分が300年前に造られた「最終兵器」だったことを知る。そして「バーサーカーボディ」と呼ばれる高性能戦闘用ボディを手に入れ、自分を狙う敵のサイボーグたちに立ち向かっていく。
実写化にあたり、まず注目されたのがアリータのビジュアルだ。CGとモーションキャプチャを融合させたその姿は、アニメと現実の境界を曖昧にしながらも圧倒的なリアリティを生み出している。
また、作中で描かれる殺人競技「モーターボール」は、アリータが自らの意志で戦うことを選ぶ場面として印象的に描かれ、映像ならではのスピード感と熱量がある。
この映画化の実現には、ジェームズ・キャメロンの熱意が大きく関わっている。彼は原作者・木城ゆきとに直筆サイン入りの手紙で熱烈なオファーを送り、それがきっかけで企画が動き出した。完成した作品について木城氏も高く評価しており、原作ファンからも「納得の完成度」との声が寄せられている。