毒気とユーモアが光る韓国No.1大ヒット作

『カンナさん大成功です!』(2006)

キム・アジュン
キム・アジュン【Getty Images】

原作:鈴木由美子『カンナさん大成功です!』
監督:キム・ヨンファ
脚本:キム・ヨンファ、ノー・ヘヨン
出演:キム・アジュン、チュ・ジンモ

【作品内容】

 美声と才能を持ちながら、95キロの体形ゆえに裏方として歌うカンナ(キム・アジュン)。想いを寄せるプロデューサーに振り向いてもらうため、彼女は全身整形でスリムな美女に生まれ変わるが、そこには思わぬ葛藤が待ち受けていた。

【注目ポイント】

 韓国で2006年に公開された映画『カンナさん大成功です!』も、日本の漫画が海外で実写化され「面白い」と評価される作品のひとつ。原作は鈴木由美子による同名漫画。外見コンプレックスや整形、そして自己肯定というテーマを、軽やかなラブコメディとして描き、韓国国内では観客動員数600万人を超える大ヒットを記録。主演のキム・アジュンは一躍スターとなった。

 原作漫画では、恋に悩み、整形で自分を変えようとする女性の姿が描かれる。ぽっちゃり体型で目立たない存在だった主人公は、思いを寄せる男性にふさわしい女性になろうと、大手術を決意。その過程で彼女は外見だけでなく、心までも変わっていく。鈴木由美子らしい毒気とユーモアを帯びた人間描写が印象的な作品である。

 一方、韓国映画版は、整形という共通のテーマを持ちながらも、舞台を音楽業界へと大胆に変更。主人公ハンナは、ずば抜けた歌唱力を持ちながらも肥満体型であるため、表舞台に立てず、美人歌手のゴーストシンガーとして裏方に徹している。密かに恋する音楽プロデューサーに振り向いてもらうため、全身整形を施し、別人のような美しい姿となって「ジェニー」として再出発するというストーリーとなっている。

 ちなみに原作を生んだ日本でも2009年に山田優主演で実写映画が制作されたが、こちらはあまり評価されなかった。韓国版をなぞるような内容であったものの、原作の持つ毒気や、韓国映画が持っていたドラマとしての力強さを活かしきれず、賛否両論となった。

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