命を燃やし尽くす…壮絶な一騎打ちが残したもの
煉獄杏寿郎vs猗窩座
私たちに大きなショックと悲しみを与え、上弦の鬼の恐ろしさを遺憾なく知らしめたのが煉獄杏寿郎と猗窩座による戦いだ。上弦の参である猗窩座は武を極めしもので真っ直ぐだ。だからこそ、同じく高みへと至っている煉獄を何度となく鬼の道へと誘う。
だが、2人がわかり合うことはない。ゆえに戦い続ける。煉獄は「炎の呼吸」を繰り出し、かたや猗窩座は「血鬼術・破壊殺」を次々と浴びせる。鬼であれば致命傷を負っても回復できるが、人間はそうではない。猗窩座は鬼の優位性を説くが、私たちの心を打ったのはもちろん煉獄の方だ。
責務を全うするため立ち上がり、起き上がれない炭治郎のために戦い続ける。腕が胴を貫通してもなお、猗窩座をつかみ続ける気力は柱だからこそなせる業だ。だが最後には煉獄は力尽き、猗窩座は逃げおおせてしまう。
柱を失った衝撃は最期を見届けた炭治郎と伊之助の2人のみならず、私たちを悲しみの渦に包んだ。しかし同時に、煉獄が命を燃やし賭して戦う姿は炭治郎ら次世代にとって大きな意味を持った。「心を燃やせ」。この言葉があったからこそ炭治郎は成長を続け、最後には猗窩座を倒せるほどの力をつけ、鬼殺隊を支えられるほどの存在となった。煉獄の戦いも死もすべてに意味があった――その点で猗窩座との戦いを名バトルに含めないわけにはいかない。