過去を越えるための再戦、揺るがぬ覚悟

竈門炭治郎＆冨岡義勇vs猗窩座

　数多くの名バトルが同時多発的に繰り広げられた無限城編においてどれが一番かを決めることは難しい。だが、あえて「最高」だったという言葉を使いたいのが竈門炭治郎＆冨岡義勇の2人と、上弦の参・猗窩座による戦いだ。

　煉獄杏寿郎を打ち破った猗窩座が再び鬼殺隊の前に現れる。前回と異なるのが、炭治郎が大きく成長し、その横には同じく水の呼吸の使い手である義勇がいるということだ。それでも、格闘術を極めた猗窩座は強く、2人を圧倒。義勇も一度は戦線離脱となるほど吹き飛ばされる中、覚醒したのが炭治郎。ついにヒノカミ神楽をも使いこなし、猗窩座と互角に渡り合う。

　さらには、義勇も強者との戦いの中で覚醒し、痣を発現。覚醒した義勇にも対応した猗窩座に対し、炭治郎はさらに高みである「透き通る世界」へと至る。「ヒノカミ神楽 斜陽転身」でついには頸を切り落とすのだった。

　頸を落とされてもなお戦おうとする猗窩座に幻影を見せたのがかつての婚約者・恋雪。猗窩座の切ない過去も明かされるバトルは美しいラストを迎える。主人公と圧倒的な敵である鬼の戦いでありながら、どちらに転ぶかわからないような戦いはまさに手に汗を握る。3人が3人とも覚醒に覚醒を繰り返し、涙なしで見守ることができない最後は、鬼滅屈指の名バトルと言えるのではないだろうか。

【著者プロフィール：まっつ】

1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

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【了】