観なきゃよかった…Netflix配信中の“胸糞映画”5選。救いもスカッともない…それでも目が離せない作品をセレクト

text by 灸 怜太

事故や陰謀、欲望や格差など、現実の延長線上に潜む悪夢をリアルかつ容赦なく描き出す“胸糞映画”。観終わったあとにスカッとするどころか、しばらく重い感情を引きずってしまう…そんな後味の悪さこそが、このジャンルの真骨頂だ。今回は、Netflixで配信中の5作品をセレクト。それぞれの魅力を紐解いていく。(文・灸 怜太)

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因果応報が突きつける“最悪の選択”

『最悪の選択』(2018)

ジャック・ロウデン
コリンズ役のジャック・ロウデン【Getty Images】

監督・マット・パーマー
出演:ジャック・ロウデン、マーティン・マッキャン、トニー・カラン、イアン・ピリー

【作品内容】

 婚約者に子どもが出来たこと知り、結婚を控えたヴォーンは、学校時代からの友人マーカスに誘われ、スコットランド北部へ狩猟に出かける。酒場で地元の女性たちと知り合って楽しい夜を過ごし、翌朝に狩猟に出かけるが、銃弾を忘れてきたことに気づく。

 ヴォーンはマーカスに銃を借り、鹿に狙いを定めるが、たまたま近くにいた子どもを誤って撃ってしまう。さらに激怒して銃を向けてきた子どもの父親にマーカスが発砲。ふたりは、この事故を隠蔽しようとするが…。

【注目ポイント】

 不慮の事故を隠蔽するという、タイトル通り“最悪の選択”をしてしまった2人が、じりじりと追い詰められていくサスペンス作である。


 設定はシンプルながら、精緻な撮影と不穏な音楽、さらにキャスト陣の自然な演技により、まともにモニターを直視できないほどの心理的圧迫感が持続する。

 胸糞な行為をしたのは、事故を隠蔽して悪あがきする主人公たちであるが、腹に一物ありながらも接してくる村人たちもいやらしい雰囲気を漂わせ、やがてその疑いが確信に変わっていく過程も恐ろしい。

 誰でも嘘がばれて怒られたり、それを皆の前で晒し上げられて、いたたまれない気持ちになった経験はあると思うが、あのなんともいえない胸の重さを呼び覚ますほどリアルな心理描写がなされている。因果応報によって結果的に“最悪の選択”を迫られる主人公の姿は、人間の罪の本質を考えさせる。

 ラストシーンで画面のこちら側に訴えかけてくる主人公の表情は、いつまでも脳裏にこびりつくトラウマとなる作品である。

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