かつての仲間に襲い掛かるトラウマシーン

炭治郎の鬼化

『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨
ufotable公式Instagramより

 鬼舞辻無惨との最終決戦。鬼殺隊は多くの犠牲を払いながらも、ついに無惨を日の光に晒し、討ち取ることに成功する。だが、その勝利は決して終わりではなかった。

 無限城から追い出され、光に焼かれ消滅しかけた無惨は、最後の瞬間に「受け継がれる思い」の強さと「個の無力さ」を痛感する。そして、日の光を克服した“完全なる存在”という自身の野望を、なんと炭治郎に託したのだ。瀕死の炭治郎は無惨の体内に取り込まれ、大量の血と力を注ぎ込まれる。

 失われていた左腕は瞬く間に再生し、炭治郎は鬼として蘇る。理性は失われ、飢餓に支配され、無惨の意志のまま鬼殺隊殲滅のために動き出す。かつての仲間──善逸、伊之助、そして禰豆子すらも容赦なく襲いかかる姿は、読者に戦慄を走らせた。

 さらに、炭治郎は無惨と同等の力を操り、日の光すら克服。作中最強クラスの鬼となってしまう。その圧倒的な力は、積み重ねてきた信頼や絆を一瞬で崩壊させかねないほどだった。

 だが、禰豆子や仲間たちの必死の呼びかけ、そしてカナヲが打ち込んだ薬によって、炭治郎はついに人間へと戻る。無惨を倒せば全てが終わる──そう信じていた読者にとって、この予想外の展開は大きな衝撃と深い絶望感をもたらした。

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