緊張感あふれる駆け引きが台無しになった瞬間
Netflix版『Death Note/デスノート』(2017)
監督:アダム・ウィンガード
脚本:チャーリー・パルラパニデス、ヴラス・パルラパニデス、ジェレミー・スレイター
原作:大場つぐみ、小畑健
出演:ナット・ウルフ、マーガレット・クアリー、ラキース・スタンフィールド、ポール・ナカウチ、シェー・ウィガム、ウィレム・デフォー
【作品内容】
ライト・ターナー(ナット・ウルフ)は、死神が落としたノートを手に入れ、悪人を裁く闇の支配者となる。しかし、謎に包まれた名探偵と一人の同級生の出現が、彼の運命を大きく揺るがしていく。
【注目ポイント】
原作『デスノート』は、大場つぐみ(原作)と小畑健(作画)による漫画で、2003年から2006年まで『週刊少年ジャンプ』で連載された。日本で実写化された劇場版は大ヒットを記録している。しかし、2017年にNetflixが制作したアメリカ版実写映画は、ファンや批評家から厳しい評価を受ける結果となった。
原作は、頭脳明晰でカリスマ性のある主人公・夜神月がデスノートを手に入れ、犯罪者のいない世界を目指す物語だ。彼の完璧な思考と、それに対抗する探偵Lの緻密な頭脳戦が作品の最大の魅力となっている。
ところが、Netflix版の主人公ライト・ターナーは、どこにでもいる冴えない高校生に描かれている。デスノートを手にした動機も、原作の「正義」や「退屈」とは異なり、いじめっ子への復讐や意中の女性を助けるためという個人的な感情が主軸で、恋愛エピソードも追加されている。
ライト・ターナーの行動は一貫して衝動的で、原作に見られる冷静かつ緻密な知性は感じられない。女の子の気を引くためにデスノートの秘密を話してしまう場面も衝撃的だ。
また、Lに正体を突き止められそうになるとパニックに陥り、自分の命を守るためにミアを騙してデスノートで自分の名前を書かせようとするなど稚拙な行動に出る。こうした描写はもはや頭脳戦とは言えず、原作の核心である「天才同士の心理戦」という要素が完全に失われている。
さらに、Lのキャラクターも感情的で短絡的な面が強調されており、原作とは大きくかけ離れている。これらの要因が重なり、Netflix版は原作の魅力を十分に再現できず、批評家やファンから厳しい評価を受ける結果となった。
(文・編集部)
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【了】