“呪われた団地”と呼ばれた廃墟
岐阜県・幽霊団地『N号棟』(2022)
監督:後藤庸介
脚本:後藤庸介
出演:萩原みのり、山谷花純、倉悠貴、岡部たかし、諏訪太朗、赤間麻里子、筒井真理子
【作品内容】
廃団地に潜入した女子大生が、過去の集団失踪事件と異形の存在に巻き込まれていく心理ホラー映画。
【注目ポイント】
岐阜県富加町に存在した「N号棟」は、住民がいないはずなのに灯りがともり、家具が残されたまま廃墟化しているという不可解な状態から、“呪われた団地”と呼ばれていた。内部に入った者の多くが耳鳴りや頭痛を訴え、窓越しに人影を見たという証言も相次いだ。
かつて住んでいた家族が忽然と姿を消したという噂や、孤独死・自殺の記録が団地の怪談を補強。取り壊しが決まると、心霊配信者や探検家が集まり、その映像や記録は今もネットに残っている。無人の空間に漂う生活の痕跡と、静けさの中に潜む“誰かの気配”は、現代的廃墟怪談の象徴となった。
閉鎖から年月が経った今も、「跡地に近づくと耳鳴りがする」と話す地元住民がおり、土地そのものに染みついた記憶が消えていないかのようだ。取り壊し後も、跡地を通るとカメラやスマホがフリーズする、聞き覚えのない足音がついてくるといった話が残っている。
映画はこの都市伝説をベースに、団地に潜む“見えない住人”の存在をほのめかし、現実の廃墟と地続きの恐怖を観客に植え付ける構成となっている。