38年間増築が続いた“迷宮の館”
『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』(2018)
監督:スピエリッグ兄弟
脚本:スピエリッグ兄弟、トム・ヴォーン
出演:ヘレン・ミレン、ジェイソン・クラーク、サラ・スヌーク、アンガス・サンプソン
【作品内容】
銃の呪いに取り憑かれた未亡人が、終わりなき増築に人生を捧げた実話を基に描くゴシックホラー映画。
【注目ポイント】
カリフォルニア州サンノゼにそびえるウィンチェスター・ミステリーハウスは、38年間も途切れることなく増築され続けた奇怪な邸宅だ。廊下の先に扉がない、階段が天井で突き止まるなど、常識外れの構造は、霊媒師から「工事を止めれば命を落とす」と告げられた未亡人サラ・ウィンチェスターが従った結果とされる。これは、ウィンチェスター銃によって奪われた魂を鎮めるための供養でもあった。
館内では「窓越しに見知らぬ人物を見た」「写真に白い影が映った」といった怪現象の報告が後を絶たず、数多くの心霊番組でも取り上げられてきた。訪問者の中には「帰宅後も足音がついてきた」と語る者もおり、この屋敷の呪いが外の世界にまで及ぶのではと恐れられている。
現在も館内ツアーは開催されているが、参加者の中には原因不明の頭痛や体調不良を訴える人も多い。廊下や部屋に漂う異様な冷気は、単なる建築物の魅力を超え、死者と共に生きることを強いられた未亡人の心の闇を感じさせる。
映画は、この迷宮的構造と“罪の重さ”を忠実に映像化し、訪れた者に祈りと狂気の入り混じった恐怖を刻み込む。
(文・ニャンコ)
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【了】