夏ドラマで最も株を上げた女優は? 演技が素晴らしい宝石5選。見事な芝居で視聴者の心を掴んだアクトレスをセレクト

text by まっつ

2025年夏ドラマも折り返し地点を迎え、物語の展開とともに出演者たちの評価も大きく変動している。中でも視聴者の心をつかみ、確実に存在感を増したのが、ここで紹介する5人の女優たちだ。この夏、彼女たちはなぜこれほど株を上げたのか。その理由を演技やキャラクター描写から紐解いていく。(文・まっつ)

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丁寧な所作と伸びやかな声で魅せた成熟した存在感

上白石萌音『ちはやふる -めぐり-』(日本テレビ系)

上白石萌音
上白石萌音【Getty Images】

 映画版の『ちはやふる』で大江奏を演じた上白石萌音は、ドラマ版『ちはやふる-めぐり-』では大人になり、古文非常勤講師として帰ってきた。

 丁寧な言葉づかいや振る舞いはもちろん変わらず、むしろ教師となったことでより洗練され、落ち着いた大人の女性に成長したことをうかがわせる。

 もっとも、古文の世界の話になると、我を忘れてしまう姿はおなじみ。遠い昔に思いを馳せながら、テンションを上げてまくし立てて喋るような大江がまだいることを喜んだファンは多いだろう。上白石の美しい声は百人一首の説明でも際立つが、やはり印象的だったのは第2話での読み上げだろう。

 大江の札を読み上げる声は美しいだけではなく、歌手としても活動している上白石らしい声の伸びもまた魅力となっている。それだけで彼女が百人一首と向き合ってきた日々を感じられるようで、『ちはやふる』の歴史さえ思い起こされる。作中でも彼女の札読みの声に惹かれ、生徒たちがかるた部にやってくるのも納得だ。

 奇しくも夏クールは教師役で好演を見せる女優は多いが、中でも上白石の先生として生徒と向き合う“信頼感”はトップクラスだ。まっすぐな瞳と落ち着いた所作は筆者が生徒でも信頼してしまうことは確実。改めて上白石の高い演技力には舌を巻いてしまった。

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