禁断の恋に潜む脆さと色香を自在に操る演技力
木村文乃『愛の、がっこう』(フジテレビ系)
『愛の、がっこう』は、教師である小川愛実(木村文乃)とホストであるカヲル(ラウール)が、大きな隔たりを越えて惹かれ合うラブストーリー。ダメとわかっていても距離を縮めていってしまう、王道かつ禁断の愛の物語だ。
しかし、木村文乃が演じる愛美は決して表層的で、わかりやすいキャラクターではない。真面目で不器用ではあるが、過去に恋愛で大きな過ちを犯したことがある。だからこそ、恋愛には奥手となっており、悩みを抱えている。
そんな複雑な人間を木村はまっすぐに演じ、ドロドロとした恋愛に進んでいく。カヲルに「チワワ先生」と揶揄される通り、キャンキャンと怒る表情も印象的だが、同時に言葉で伝えられないもどかしい顔の演技もしっかりと際立っており、たしかな演技力が光る。
また、声も含めてとてもかわいらしいのは大前提にありながら、木村は愛実をどこか「芋っぽい」キャラクターに仕上げ、ホストとの恋愛に奇妙な説得力をもたらす。しかし、カヲルとの“個人授業”では彼女が持つ色っぽさも十分に感じることができ、ラウールが備えるセクシーさと相まって、一気に18禁のようなドキドキも味わえる。
この高低差を使いこなせるからこそ、木村がキャスティングされたのだと想像できる。
ドラマはいよいよ後半戦に突入し、愛実の“女性としての側面”がこれまで以上に際立っていくはずだ。彼女がどのような表情で、どんな温度感で愛を描き出すのか。その一瞬一瞬から目が離せない。