無邪気さと残酷さを併せ持つミステリアスな存在感

久間田琳加『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)

久間田琳加
久間田琳加【公式Instagramより】

「りんくま」の愛称でも知られ、ティーンの間ではカリスマ的な人気を誇った久間田琳加。近年は女優としても精力的に活動し、単なるヒロイン以外の役も与えられ始めている。そんな彼女にとっても『DOPE 麻薬取締部特捜課』での泉ルカ役は新たな挑戦となったのではないだろうか。

 本作における泉はいまだ謎が多いキャラだが、おそらく味方ではない。元々は主人公側の特捜課のメンバーであったが、すでに辞めて犯罪シンジケート・白鴉という組織に所属。とりわけ綿貫光(新木優子)とは過去に因縁があり、確執を抱えている。対面するシーンでは直截的な言葉の刺々しさから嫌悪感を隠すことはなく、今後の不穏な展開を予想させる。

 彼女の魅力は、本来“ゆるり”と漂うような柔らかな笑顔にある。しかし、泉を演じる際にはその印象ががらりと変わる。泉も笑顔を見せないわけではないが、それは“ケラケラ”と響く無邪気さの中に、どこか悪意めいたニュアンスが潜んでいる。

 その笑みを浮かべたまま敵を葬り去る場面もあり、「ただの人物ではない」という確信が回を追うごとに積み重なっていくのだ。

 注目の異能力も執筆時点で明らかになっておらず、案外泉が物語のキーとなるのかもしれない。その点でも、女優・久間田琳加にとって飛躍の夏となっている。

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