凛とした眼差しで物語を方向づけた新星の表現力
南琴奈『僕達はまだその星の校則を知らない』(フジテレビ系)
19歳という若さで鮮烈な存在感を放っているのが南琴奈だ。彼女が演じるのは、『僕達はまだその星の校則を知らない』の生徒会副会長・斎藤瑞穂。視聴者の心を掴んだのは、第1話でのエピソードだった。
物語のテーマは制服の着こなしをめぐる校則問題で、そこからジェンダーの話題にも広がっていく。斎藤はただズボンを試してみたかっただけなのに、その選択が周囲に様々な憶測を呼び、心身ともに疲弊し、やがて学校から距離を置くようになる。
そんな彼女を救ったのが、生徒会長・鷹野良則(日高由起刀)だ。特に電話でのやり取りは、BGMもなく静かに言葉を交わすリアリティが胸を打つ。斎藤が小さく「ふーん」と頷き、「何着ていく?」と切り出す場面は、ほんの少し前を向くようになった瞬間を象徴している。
2人は恋愛関係ではないものの、この一件を経て確かな絆が芽生えたことは、最後に交わした「ありがとう」からも伝わってくる。
当初はその整った美貌で注目を集めた南琴奈だが、第1話で見せた飾らない凛とした表情と確かな演技力は、それ以上の輝きを放つ。作品の方向性を決定づけるキーパーソンとしての存在感は圧倒的で、今後公開予定の映画出演も含め、彼女の活躍の場はますます広がっていくだろう。
【著者プロフィール:まっつ】
1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。
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