芸に邁進する喜久雄の道行

今宮神社

映画『国宝』
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025 映画「国宝」製作委員会

 芸に人生を捧げた男の狂気と美しさー。この映画『国宝』の主題を象徴するのが、喜久雄の三代目花井半二郎襲名シーンだろう。

 芸の道に邁進する喜久雄がゲーテの『ファウスト』よろしく「悪魔との契約」(Deal with the Devil)を交わしたこのシーン。家族をあっさりと見捨てる喜久雄に、背筋が凍った観客も少なくないはずだ。

 さて、このシーンが撮影されたのは、シーン、京都市内にある今宮神社だ。今宮神社は、金閣寺近くの京都市北区紫野にある神社で、創建は平安時代。健康長寿や災厄鎮静のほか、「玉の輿神社」としても知られている。

 なお、喜久雄が人力車に乗って通った石畳が美しい参道には、門前菓子として名高いあぶり餅の老舗「かざりや」と「一文字屋 和輔(一和)」がある。聖地巡礼の際は是非ともご賞味いただきたい。

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