「序盤で殺してくれ」と嘆願

チャニング・テイタム『G.I.ジョー』(2009)

チャニング・テイタム
チャニング・テイタム【Getty Images】

監督:スティーヴン・ソマーズ
脚本:スチュアート・ビーティ
出演:チャニング・テイタム、レイチェル・ニコルズ、マーロン・ウェイアンズ

【作品内容】

 世界征服を狙う悪の組織コブラが、あらゆるものを破壊できる最強ウイルス兵器を入手し各地で暴走していた。米国政府は極秘の国際精鋭部隊“G.I.ジョー”を派遣し、阻止に乗り出す。

【注目ポイント】

 2009年公開の『G.I.ジョー』は、人気玩具シリーズとアニメを実写化したアクション大作。制作費約1.75億ドルをかけ、秘密精鋭部隊“G.I.ジョー”と世界征服を狙うテロ組織コブラとの壮絶な戦いを描く。世界興収は3億ドルを超え、商業的には成功を収めた。

 そんな本作に出演したチャニング・テイタムは、後に出演を強く後悔していると告白している。

 米VARIETYが2015年に報じたところによると、映画デビュー作『コーチ・カーター』(2005)に出演した後、テイタムはスタジオと3本の映画契約を結んだ。駆け出しだった当時、彼はその話を喜んで受け入れ、迷わず署名したという。しかし、年月が経ち自分のやりたい方向が見えてくると、この契約が重荷となったのだ。出演したラジオ番組で「僕はあの映画(G.I.ジョー)が大嫌いだ。マジで嫌い。強制的に出演させられたんだ」と語る始末だ。

 実はテイタム、子供の頃からアニメ版『G.I.ジョー』のファンで希望した役はスネークアイズ。しかしその願いは却下され、主人公デューク役を務めることになった。脚本に失望しながらも「この作品で思い出を台無しにしたくなかった」と語っている。さらに続編『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013)では「序盤で自分のキャラクターを殺してほしい」とまで依頼。契約に縛られた若手俳優としての苦悩と、ファンとしてのプライドの衝突が、彼の率直な後悔の言葉に凝縮されている。

 実際、作品は商業的には成功を収めたが批評家からの評価は厳しい。その評価の温度差と、自身の内心が乖離していたがゆえに、テイタムの後悔は鮮烈だ。

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