見事ラジー賞4冠に輝いた伝説的迷作

ハル・ベリー『キャットウーマン』(2004)

ハル・ベリー【Getty Images】
ハル・ベリー【Getty Images】

監督:ピトフ
脚本:ジョン・ブランカート、マイケル・フェリス、ジョン・ロジャース
出演:ハル・ベリー、シャロン・ストーン、クラウス・バデルト

【作品内容】
 巨大化粧品会社の広告デザイナー、ペイシェンス(ハル・ベリー)は会社の陰謀を知り、命を狙われ何者かに殺されてしまう。しかし、超人的な力を得てキャットウーマンとして復活。復讐に挑む。

【注目ポイント】
 ハリウッド俳優が出演を後悔している作品は数あれど、その中でも特に有名なのが、ハル・ベリー主演の映画『キャットウーマン』のエピソードだろう。2001年に『チョコレート』でアジア系女優として初めてアカデミー主演女優賞を受賞し、輝かしいキャリアを築いていたハル・ベリー。しかし、2004年に主演を務めた『キャットウーマン』は、彼女のキャリアに大きな汚点を残すことになる。

 ゴールデンラズベリー賞(通称ラジー賞)は、その年の最低な映画を選出する不名誉な賞として知られている。『キャットウーマン』は、作品賞、監督賞、脚本賞、そしてハル・ベリー自身も主演女優賞を受賞し、主要4部門を独占するという快挙(?)を成し遂げたのだ。

 しかし、ハル・ベリーがこの作品を後悔していることを示す最も有名なエピソードは、このラジー賞の授賞式に出席し、オスカー像を手に壇上に上がったことだ。

 彼女は「クソみたいな映画に私をキャスティングしてくれたワーナー・ブラザースに感謝します。それから、共演者のみなさんにも。あんなヒドい演技は、みなさんの協力なしにはできなかった」と皮肉たっぷりにスピーチし、会場の爆笑を誘った。この自虐的なスピーチは、彼女のユーモアと潔さを世界に知らしめ、多くの人々に共感と賞賛をもって迎えられた。

 本作は、DCコミックスの人気キャラクターを原作としながらも、原作とは大きく異なる設定や、突飛な演出、露出が高いコスチュームなどによって賛否分かれる結果となった。

 今なお“史上最低のヒーロー映画”としてその名を轟かせている。

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