神様と子供達に見せられないから…
マーク・ウォールバーグ『ブギーナイツ』(1997)
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:マーク・ウォールバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア
【作品内容】
ロサンゼルス郊外に暮らす高校生のエディ(マーク・ウォールバーグ)は、ポルノ監督ジャック(バート・レイノルズ)に見出され、ポルノ俳優ダーク・ディグラーとして華々しくデビューする。しかし成功の裏でドラッグに溺れ、転落の道を歩み始める。
【注目ポイント】
俳優という職業は、自身のキャリアを左右する作品との出会いが常に存在する。中には、後になって後悔する作品も少なくない。そんな後悔を赤裸々に語った一人の俳優がマーク・ウォールバーグだ。
ローマ・カトリック教会の熱心な信者であるウォールバーグは、米シカゴで開催されたあるイベントで、過去の出演作について衝撃的な発言をした。それが、『ブギーナイツ』出演の後悔だ。「過去にいくつか愚かな選択をしているので、神様が映画好きで、寛大であることをずっと願っている」と告白し、作品については本作の名前を挙げた。
1997年に公開された『ブギーナイツ』は、ポルノ映画業界の黎明期を描いた、ポール・トーマス・アンダーソン監督の初期の傑作として知られている。マーク・ウォールバーグは、主人公のポルノ男優ダーク・ディグラーを演じ、この作品で一躍スターダムにのし上がった。しかし、彼自身は、その役柄が信仰心と相容れないと感じていたようだ。
この発言は、当時大きな話題を呼んだ。なぜなら、ウォールバーグにとって、この作品がキャリアを代表する重要な一本であったからだ。彼の俳優としての才能を開花させた作品であり、批評家からも高い評価を受けていたのだ。
ウォールバーグ自身も、以前は『ブギーナイツ』を誇りに思っていると語っていた時期もあった。しかし、敬虔なカトリック教徒である彼は、成長した子どもたちに、自身の過去の作品を見せることにためらいを感じていたのかもしれない。特に、『ブギーナイツ』は、ポルノ業界というテーマ上、子どもたちに見せるにはハードルが高い作品だ。
ウォールバーグの個人的な感情とは裏腹に、今もなお多くの映画ファンに愛され、語り継がれる傑作であることに変わりはない。