天才監督の汚点となった異例の失敗作
『バビロン』(2023)
監督:デイミアン・チャゼル
キャスト:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョヴァン・アデポ
【作品内容】
1920年代のハリウッド。サイレント映画のスター、ジャック(ブラッド・ピット)と出会った新人女優ネリー(マーゴット・ロビー)、映画製作を夢見る青年マニー(ディエゴ・カルバ)は華やかな世界へ飛び込むが、トーキー時代の到来が彼らの運命を大きく揺るがす。
【注目ポイント】
デイミアン・チャゼル監督の映画『バビロン』は、1920年代のハリウッド黄金時代を舞台に、映画業界の栄光と堕落を描いた作品。主演にはブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバらが名を連ね、豪華なキャストと壮大なスケールで注目を集めた。
チャゼル監督といえば『セッション』や『ラ・ラ・ランド』といった作品で成功を収めてきた才能あふれる監督であり、本作でもその手腕が期待されていた。しかし、興行成績は振るわず8000万ドルの製作費に対し、全世界の興行収入は6300万ドルにとどまった。
監督自身、本作の興行的な失敗によって将来への不安を口にしている。「財政的な面では、間違いなく『バビロン』は全くうまくいかなかった」と述べ、この経験が次作の製作にも影響を与えることを示唆した。具体的には、「バビロンのような予算をもらえることはしばらくないだろう」と語り、次回作はより小規模な作品になる可能性を示している。
この発言は「後悔」という直接的な言葉ではないものの、監督が作品の結果に深く失望し、その後のキャリアにも影響を及ぼすことを物語っている。成功作を重ねてきた監督にとって『バビロン』は、初めての大きな挫折となり、複雑な感情を抱かせる作品となったことは間違いない。