【8月後半】NHK BSで観られる傑作映画5選。多種多様なジャンルの名作が勢ぞろい…見どころを徹底解説
ジャンルを超えて映画史に名を刻む傑作に出会えるのが、NHK BSプレミアムシネマの魅力である。今回は、SFホラーの金字塔から心に響くヒューマンドラマ、歴史大作など、8月後半に放送される“本当に面白い”作品を5本をセレクト。映画通なら絶対に観たい、それぞれの作品が放つ見どころを紐解いていく。(文・阿部早苗)
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ホラーとアクションが融合した極上の緊張感
『エイリアン2』(1986)
監督:ジェームズ・キャメロン
キャスト:シガニー・ウィーバー、マイケル・ビーン、キャリー・ヘン、ランス・ヘンリクセン、ビル・パクストン
放送日時:8月25日(月)午後1:00~
【作品内容】
ノストロモ号事件から57年後、唯一の生存者リプリー(シガニー・ウィーバー)が救出される。彼女が警告した星は植民地となっていたが、突如通信が途絶。危険を承知でリプリーは海兵隊と共に調査へ向かう――。
【注目ポイント】
1979年に公開され、宇宙船内の閉鎖空間で1体のクリーチャーが引き起こす恐怖を描いたSFホラー映画の金字塔『エイリアン』。その続編となる『エイリアン2』(1986年)は、前作で監督を務めたリドリー・スコットからバトンを受け継いだジェームズ・キャメロンが、物語の方向性を大胆に転換させ、アクション超大作として見事に昇華させた傑作だ。
物語は、前作で唯一生還した航海士リプリーが、57年の冷凍睡眠から目覚める場面から始まる。かつて彼女が警告した惑星はすでに入植地となっており、調査に向かったリプリーと海兵隊が直面するのは、単体の脅威ではなく群れを成した無数のエイリアンだった。恐怖は個の怪物から集団の戦慄へと進化し、人類と異種生命体の全面戦争が幕を開ける。
本作の魅力は、ホラーの緊張感とアクションの爽快感が見事に融合している点にある。特に、モーショントラッカーが鳴り響き、目に見えない敵が迫るシーンは、観客の心臓を締めつけるような緊迫感にあふれている。
製作当時はCG技術がまだ未発達だったため、無数に繁殖したエイリアンの群れとの遭遇シーンは、すべて実写で撮影された。実際に登場するエイリアンの数は限られていたにもかかわらず、動体探知機の反応や巧みなカット割りを駆使することで、あたかも無数のエイリアンが迫りくるかのような戦慄を生み出している。これらの映像的工夫は高く評価され、1986年のアカデミー賞では視覚効果賞と音響効果編集賞を受賞した。
そして、本作を語る上で欠かせないのが、シガニー・ウィーバーが演じる主人公リプリーの存在だ。孤児の少女ニュートを守ろうとする姿は戦う母性そのものであり、クライマックスでパワーローダーを操縦してエイリアンクイーンと対峙するシーンは、まさに圧巻。この伝説的な対決は、映画史に永遠に刻まれる名場面となった。