権力と愛に翻弄された女王の生涯

『クレオパトラ』(1963)

映画『クレオパトラ』【Getty Images】
映画『クレオパトラ』【Getty Images】

放送日時:8月31日(日)午後1:00~

監督:ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
キャスト:エリザベス・テイラー、レックス・ハリソン、リチャード・バートン

【作品内容】

 紀元前48年、エジプト女王クレオパトラ(エリザベス・テイラー)はローマの将シーザー(レックス・ハリソン)と出会い、愛と策略で王位を得る。だがシーザー暗殺後、将軍アントニー(リチャード・バートン)と結ばれるが――。

【注目ポイント】

 1963年に公開された映画『クレオパトラ』は、監督ジョセフ・L・マンキーウィッツ、主演に当時世界一の美しさを誇ったエリザベス・テイラーを迎えて製作された。

 物語は、プトレマイオス朝最後の女王クレオパトラ7世の波乱に満ちた生涯を描く。共和政ローマの内乱に巻き込まれながらも、自国の独立を守るため権力者であるシーザー(レックス・ハリソン)、そしてアントニー(リチャード・バートン)と恋に落ち、翻弄されていくクレオパトラの姿が、歴史的な出来事を背景にドラマチックに綴られていく。

 完成までに4年を費やし、当時としては史上最高額の制作費が投じられた本作は、衣装や美術の豪華さ、数千人のエキストラを動員したシーンなど、今なお映画史に語り継がれるスケールを誇る。特にクレオパトラがローマに凱旋する場面は、映画史に残る圧巻の映像美として知られる。

 見どころはまず、エリザベス・テイラーが演じるクレオパトラの魅力だ。彼女が身にまとう豪華衣装は動く芸術品のようで、画面に現れるたびに目を奪う。特に、巨大スフィンクスに乗ってローマに訪れるシーンは、映画史に残る名場面といえるだろう。

 製作時の紆余曲折も相まって、しばしば「映画史に残る大失敗作」と評されることもある。しかし、そのスケール、映像美、そして俳優たちの熱演は、今なお色褪せることはない。現代の技術では再現できない、アナログの力強さと情熱が詰まったこの作品は、映画ファンならずとも一度は鑑賞する価値がある。

【著者プロフィール:阿部早苗】
仙台在住の元エンタメニュース記者。これまで洋画専門サイトやGYAOトレンドニュースなど映画を中心とした記事を執筆。他にも、東日本大震災に関する記事や福祉関連の記事など幅広い分野で執筆経験を積む。ジャンルを問わず年間300本以上の映画を鑑賞するほどの映画愛好家。

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【了】

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