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バブル崩壊を阻止せよ!? 平成世代懐かしのネタ満載

『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』(2006)

女優の広末涼子
女優の広末涼子Getty Images

上映時間:116分
製作国:日本
監督:馬場康夫
脚本:君塚良一
原作:ホイチョイ・プロダクションズ
キャスト:阿部寛、広末涼子、吹石一恵、伊藤裕子、劇団ひとり、小木茂光、伊武雅刀、薬師丸ひろ子

【作品内容】

時は2007年。バブル崩壊から着実に回復していると思われた日本の景気だが、その実態はさらに深刻な危機だった。バブル崩壊後の景気対策のために増えた国債は800兆円にのぼり、国家崩壊は時間の問題。

財務省に勤める下川路(阿部寛)は最悪のシナリオに終止符を打つため、ある計画を極秘に進める。

借金取りの田島(劇団ひとり)に追われる日々を送っている田中真弓(広末涼子)は、母親の真理子(薬師丸ひろ子)の葬儀でも借金取りに香典を持っていかれるほど、お金に困窮していた。

そんな真弓のもとに、母親の知り合いだという下川路が訪ねてくる。下川路は、真弓の母親は死んだのではなく、バブル崩壊を阻止するために、洗濯機型のタイムマシンに乗ってバブル時代にタイムスリップしたのだと話すのだが…。

【注目ポイント】

本作は、タイムマシンにのってバブル景気に浮かれる1990年の東京にタイムスリップした主人公・財務省特別緊急対策室の下川路が、バブル崩壊を阻止するために奮闘するコメディー作品。

バブル時代の様子が忠実に再現されており、バブル時代を知る人には懐かしい光景が多く登場する。

「ホイチョイ3部作」(『私をスキーに連れてって』、『彼女が水着にきがえたら』、『波の数だけ抱きしめて』 )に見られるように、バブル時代を席巻したホイチョイ・プロダクションを原作に、不況にあえぐ当時の世相を反映するような懐古趣味的な要素に、当時、最新家電として出回り始めたドラム式洗濯機をアイテムとして組み合わせた娯楽作だ。

本筋とは直接関係ないものの、サッカー日本代表の“ドーハの悲劇”もなかったことにされており、めでたくワールドカップ初出場を決め、ラモス瑠偉が日本代表監督に就任するなどのサイドストーリーも盛り込まれている。

企画の趣旨は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを想起させるが、SF映画としてのクオリティで勝負できない分、時代をバブル全盛期の東京に限定し、お台場ではなく曙橋にあった旧フジテレビ社屋を再現するなど、徹底的にローカルネタを繰り出すことで、邦画特有の魅力が存分に感じられる作品に仕上がっている。

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