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部室のガラクタがタイムマシーンに…。
笑いとスリルが共存した青春SF映画の快作

『サマータイムマシン・ブルース』(2005)

瑛太第64回カンヌ国際映画祭にてGetty Images

上映時間:107分
製作国:日本
監督:本広克行
脚本:上田誠
キャスト:瑛太、上野樹里、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、真木よう子、佐々木蔵之介

【作品内容】

勉学にもサークル活動も中途半端で、夏休みにもかかわらず暇を持て余して部室に通う面々。裸踊りに興じるうちにリモコンを壊してしまうが、大学も休みのため、修理も交換もままならない。

そんな中、部室の隅っこに、ある乗り物を発見する。興味本位でスイッチを入れると乗り物は、突然姿を消し、また再び姿を現す。乗車した部員によると「“昨日”に行ってきた」と告白する。

部員たちはその乗り物がタイムマシンだと確信するが、戻れなくなる危険性を考慮し、ひとまず昨日に行くことに決め、壊れる前のリモコンを取り戻すためにタイムマシンに乗り込む。

【注目ポイント】

同作の基となったものは劇作家・上田誠による戯曲で、劇団・ヨーロッパ企画によって上演された舞台作品を本広克行監督によって映画化した作品だ。

大学のサークル「SF研究会」を舞台に、“前日に壊れたエアコンのリモコンを取りに行く”というタイムトラベルコメディーであり、主人公の甲本を、映画初主演となる瑛太が演じている。その他にも、上野樹里、真木よう子、ムロツヨシ、佐々木蔵之介などといった豪華キャストが名を連ねている。

「今日」の世界の部室に現れた若い男は、「自分は2030年のSF研の部員で、タイムマシンで来た」と告白し、未来では既に閉館していた映画館が存在していたことを喜ぶ。

しかし、タイムトラベルによる過去への介入によって世界が滅亡するという仮説を立てた部員たちは、タイムマシンを99年前(1906年8月19日)へと飛ばす。当時の大学の敷地は沼であり、突然現れた“未来人”の出現に99年前の住人は、カッパと勘違いする。この出来事によって、その後、この町に“カッパ伝説”が口伝されていく。

タイムトラベルを軸としたストーリー展開だが、その行き先は「2030年」「1906年」「昨日」「今日」と4か所しかなく、そのほとんどが昨日と今日を行ったり来たりを繰り返すのみだ。

それでも、部室に眠っていたガラクタがタイムマシンであったこと、昨日と今日を行き来する中で繰り広げられるドタバタ劇、加えて、“世界滅亡”という壮大すぎる難題に直面するなど、笑える要素が盛り沢山ながらもスリルにもあふれている。SF映画としても青春映画としても完成度の高い一作だ。

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