オリジナルのクオリティに達する作品を作ることは困難?
アカデミー賞で11部門にノミネートされ、作品賞を含む3部門を受賞した映画『ゴッドファーザー』の地位は、年々高まるばかりで、現在では、史上最高の映画の1つとして広く知られている。
前述したように、作家マリオ・プーゾの小説は、コッポラ監督が映画『ゴッドファーザー』を映画化する以前からベストセラー小説になっていた。そして、コッポラ監督の『ゴッドファーザー』が原作を超えるような作品になるとは誰も予想していなかった。
映画をリメイク製作する場合、その映画がファン達のお気に入りであればあるほど製作には必ずリスクが伴う。この映画は、あまりにも長い間「伝説」として存在し、ハリウッドと映画製作全般に深く根ざし、多くの映画監督や、俳優陣、脚本家などに影響を与えている。
仮に『ゴッドファーザー』のリメイクがオリジナルの作品とは全く異なる方向性を示したとしても、その多大に広がった影響力や、地位のため、オリジナル作品と常に比較されてしまい、大きなダメージを受けることが考えられる。
コッポラ監督のキャリアは、映画『ゴッドファーザー』以外にも、『地獄の黙示録』(1979)、『カンバセーション』(1974)、『ランブルフィッシュ』(1983)など、高い評価を得た作品を生み出している。
当初は大ヒット作に恵まれなかったが、映画『ゴッドファーザー』を通じ、コッポラ監督の芸術的判断力と集中力は開花したと言われている。伝説的な映画作品のリメイクを製作するということは、オリジナル作品に何らかの改良が加えられる可能性がある。
この偉大な映画作品に、新しいシーンを加えるという考えは、この映画が長きに渡り保ち続けてきた人気を壊す可能性もある。内容を再編集する行為は、オリジナル作品を傷付ける可能性が高い。『ゴッドファーザー』のリメイクが作られないのは、作品の偉大さの証なのかもしれない。
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