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元関ジャニ∞の人気メンバー
観る者を惹きつける表情の芝居に注目

錦戸亮

錦戸亮Getty Images

【注目ポイント】

2019年に関ジャニ∞からの脱退と共に、ジャニーズ事務所を退所した錦戸亮。退所後はソロで活動しており、化粧品ブランドのジャパンブランドサポーターに就任したり、日本武道館でライブを行ったりと、精力的に活動している。instagramのフォロワーは89.5万人を超え、現在もその人気はとどまることを知らない。

彼の魅力は何と言っても“顔”だろう。それはただかっこいいからというだけではない。大人っぽいセクシーな顔立ちであるが、笑った顔がかわいいというギャップは彼の武器である。

錦戸亮が俳優として世間に強烈なインパクトを与えたのは、2008年にフジテレビで放送されたドラマ『ラスト・フレンズ』ではないだろうか。恋人を束縛し思い通りにならないと暴力、自分の元から離れたらストーカーになるという人物を演じ、第57回ザテレビジョンドラマアカデミー賞、第12回日刊スポーツ・ドラマグランプリで助演男優賞を受賞した。

悪役を演じる俳優は、ドラマの放送中、役を通り越して俳優自身も嫌われてしまうことがある。しかし錦戸は捨てられた子犬のようなほっとけなさ、憂いを帯びたような表情を最大限発揮し、決してそうさせなかった。

今まで出演した映画の本数は決して多くはないが、そのすべてで無二の存在感を発揮。今後、より一層良い作品に巡り合うことを願うばかりだ。

錦戸亮の演技を堪能するためのお勧めの一本

『羊の木』(2018)


出典:Amazon

原作:山上たつひこ・いがらしみきお
監督:吉田大八
脚本:香川まさひと
キャスト:錦戸亮、木村文乃、北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平

魚深市役所職員の月末一(錦戸亮)は、元受刑者を地方に移住させ、過疎地域の活性化を図るという国の極秘プロジェクトを任されることになる。6人の移住者を、最初は何も知らずに迎える月末だったが、受け入れる人がどこか変わっている様子を察知し、彼らが過去に殺人を犯したことを知る。

そのうち市内で殺人事件が起こり、月末は事件に巻き込まれていく…。

『羊の木』は漫画家・小説家の山上たつひこ原案、作画は漫画『ぼのぼのくん』のいがらしみきおが担当した、青年漫画誌『イブニング』で連載された漫画が原作になっている。第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞を受賞した話題作の映画化だ。

錦戸はDV彼氏役から今時の若者役など、幅広い役柄をこなす演技派であるが、本作で演じたのは、真面目に仕事をこなし休みは仲間とバンド活動に励む“気のいい兄ちゃん”といったキャラクター。

個性豊かな6人の犯罪者を引き立たせる“受け”の芝居であるため、一見目立つ主人公ではないのは確かだが、元受刑者との成り立たない会話に不安を覚えるシーンや、町で起こった事件現場の野次馬に受け入れた受刑者が混じっていることに気づきうつむくシーンなど、表情の芝居に注目してみてほしい。

物事に積極的に働きかける主人公ではないものの、ストーリーを影から引っ張るお芝居が素晴らしい。観客と同じ目線でいる役割を担ってくれている、一番重要な役割であると言える。

錦戸が演じるのは、多くの人が経験するような、いわゆる“普通の人生”を過ごしていないだけで、内面はいたって“普通の人”だ。目を引く存在感を発揮しながらも、周囲に溶け込むような地味さも感じさせる。錦戸だからこそ演じることのできたキャラクターだと言えるだろう。

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