『007 死ぬのは奴らだ』(1973)
「名前は墓石に刻みな」
ボンド映画で、ジェームズ・ボンドが自分の名を名乗る際には、映画内でも有名な決まり文句を放つ。
本作のボンドガールであるソリティアに対し、ボンドはその決まり文句を使うチャンスを得るが、社会壊滅を目論む麻薬王ミスター・ビッグが部屋に飛び込んできて、そのやりとりは中断される。
ボンドは「私の名前は…」と言いかけるが、ミスター・ビッグに「名前は墓石に刻みな」と返され、チンピラにボンドを殺すように命じる。こうして期待されていた名台詞はあっけなく打ち切られてしまうのだった。
ボンドの自己紹介がこれほど唐突に切り返されてしまうのは大変珍しいが、ストリートに精通した巧みさが滲み出ており、効果的な場面であったとされている。