男性目線の煮え切らない片思い
健気な主人公に女性たちも切なくなる
『僕の好きな女の子』(2020)
原作:又吉直樹
監督:玉田真也
脚本:玉田真也
出演:渡辺大知、奈緒、山科圭太、野田慈伸、前原瑞樹、萩原みのり、後藤淳平、福徳秀介、たくませいこ、児玉智洋、秋乃ゆに、濱津隆之、東龍之介、柳英里紗、長井短、朝倉あき、徳永えり、山本浩司、仲野太賀
【作品内容】
加藤(渡辺大知)と美帆(奈緒)は、会えばたわいもない出来事に一緒になって笑う友人同士。本心が分からない美帆に振り回されながらも、ひそかに彼女に思いを寄せていた加藤は、想いを伝えることで今の関係が壊れるぐらいなら、このまま黙っていようと心に決める。
又吉直樹の同名恋愛エッセイを、劇作家・玉田真也が脚本・監督を担当し、「黒猫チェルシー」のボーカルで俳優としても活動している、『勝手にふるえてろ』にも出演した渡辺大知と『劇場版 あなたの番です』の奈緒、『ある男』の仲野太賀が共演。
【注目ポイント】
これまで紹介してきた作品と違い、本作は男性目線で物語が展開されている。2人の想いはずっと平行線で、観る人によっては退屈するかもしれない。しかし、観る人によっては心に突き刺さりまくるだろう。
主人公・加藤が彼女の為に用意したケーキを渡せないでいるシーンや、女優の奈緒演じる美帆が、新しくできた彼氏を紹介した時にはおどけて祝福したりと、美帆のことが好きなのに、心の奥底に好意をしまい込み、気楽な友達を装う様子がリアルでもどかしさを感じさせる。
本作に出てくるキャラクターは悪者がいない。美帆の新しい彼氏もよくいる「良い人」だ。逆にそこがリアルで、神様が邪魔をしているのではと勘繰りたくなる、2人のすれ違いがリアルに表現されている。
結局、最後の最後まで、美帆の加藤への想いははっきりしないまま映画は幕を閉じる。美帆は彼氏から加藤の好意を知らされて泣いてしまうのだが、「心の底では加藤に告白して欲しかったのでは?」 などと推測させる描写となっている。白黒はっきりさせない演出にヤキモキしつつも、不思議と惹きつけられる一本だ。
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